講義レポート


伝統の技で、大切な器をよみがえらせる


講義名:愛しの金継ぎ学 | レポート公開日:2015年04月17日


こんにちは。愛しの金継ぎ学 キュレーターの白鳥です。
この講義は、尾道の自由大学では珍しい、足掛け3か月にわたる講義です。というのも、漆を使うため、塗った後に乾かす時間がどうしても必要なのです。そして割れや欠けが多い器は、講義の時間では終わらず、次回までの宿題として作業をしてくる必要もあります。キュレーターも初体験の金継ぎ。全5回に渡る受講生の奮闘をお届けします。

修繕したい器たちとの思い出
初回は、それぞれが修繕したい器を持ち寄り、その器の背景を語り合います。旅先で購入したという思い出の湯飲みや、家で昔から家族で使ってきたけれど、5客のうち2客が欠けてしまったという器、ご自分が造られたという器、何パーツにも別れてしまったマグカップなど…。これまで捨てずに保管されていたということだけでも、それぞれの器に対する愛情が伝わってきます。

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田代教授は、尾道市のお隣の三原市在住で、「縄胎」という技法で器を作られる漆芸家さん。「金継ぎは接着に使う漆が乾燥するのに時間がかかるけれど、だからこそ難しくないんです」と語る田代教授。“やり直しが効く”ということのようですが、果たして…。

いざ、漆の登場
田代教授は、漆の優れた性質は、「接着」と「塗装」だとおっしゃいます。金継ぎは、この「接着」の力を活かした技法です。
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よりくっつきやすくするためには、小麦粉で作った糊を混ぜた「麦漆」を用いたり、欠けを埋める立体を創りやすくするためには、砥の粉を混ぜた「錆漆」を用いたります。なんと第2回、第3回の講義では、これを自ら調合するのです。分量はおよその目安で、質道や室温などに左右されます。教授の作ったサンプルの具合を各自確かめて、その感覚をたたき込みます。細やかな部分は自作の竹べらを使って漆を乗せていきます。はみ出した部分は、ふき取ります。一部分に集中していると、その前に塗った部分にうっかり触れてしまったりということも。
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漆はその後、時間をかけて乾いていきます。“固まる”と表現したほうが適しているのかもしれません。いくつもの破片に割れてしまっているものは、一気にくっつけるわけにはいきません。家に持ち帰ってからの宿題です。1か月後の講義(第4回目)では、仕上げ前のひと作業。修復した部分に、黒い漆を塗ります。一度真っ黒にして、その上に金を蒔くと、金が映えるのだそう。

仕上げに金を撒く
いよいよ最終講義では、金粉をくっつけるために、また漆を塗ります。ペーパーで濾して、細かなゴミも取り除いた赤い弁柄漆を細い筆で乗せます。その上に、真綿を使って優しく優しく、金を乗せていきます。すると、粉っぽかった金粉が落ち着き、光り輝いてきました。
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初めて扱う「漆」というものに翻弄されながらも、器と漆と向き合う3か月を経てできた作品の一部は、こちら。

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この講義の本当の面白さは、講義が終わってからかもしれません。身近な器に欠けを見つけては、「これなら、どう金継ぎを施すか?」と、金継ぎモードに入ってしまうようです。受講生と教授の質疑の応戦は、いまだ尽きることはありません。愛着のあるものをより永く、楽しく使い続ける器に始まり、この感覚は身の回りの様々なものに広がっていきそうな気がします。

(text:クリエイティブチーム 白鳥法子)

講義名
愛しの金継ぎ学
定員
8名
日程
第1回 5月15日(月)10:30-12:00
第2回 5月16日(火)10:30-12:00
第3回〜第5回の日程は、受講生のみなさんと相談の上決定します。曜日は月曜 or 火曜を予定しています。
開講決定日
5月1日(月)まで受付け中※開講決定日について
授業料
20,000円(税込) (全5回/税込) ※事前銀行振込
キャンパス
尾道自由大学メインキャンパス
教授
田代京子
キュレーター
高野哲成
持ち物、その他注意事項
※教材費(道具一式と材料の漆)として、10,000円程度かかります。第1回の講義のときに、揃えていただきます。
※金継ぎしたい器を各自ご持参ください(ただし、釉薬がかかっていない素焼きのもの、時代の古いもの、大きな欠片のあるものは高度な技術が必要になりますのでご遠慮ください)。事前準備として、第1回までに破損部分を歯ブラシ等で磨いて細かい破片を取り除いたうえ、中性洗剤で丁寧に洗い、3日以上乾燥させておいてください。
※器がない場合はこちらでご用意いたしますのでお申し出ください。
※講義で漆を扱います。かぶれる可能性がありますので、肌の露出を控えた服装での受講をお勧めいたします。
※第1回にはカッターナイフや小刀、第2回、第3回には習字の小筆を持参ください。
※第3回、第4回の後には宿題として各自作業がございます。
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