講義レポート


海苔一枚から広がるロマン・前編


講義名:のりのりパーティー学 | レポート公開日:2016年02月04日


「のりのりパーティー学」キュレーター、そして「うつみ海苔の学校」生徒会長の“のりしー”です。今回の「のりのりパーティー学」は、尾道を飛び出し、広島県で一番の海苔の生産地、内海町田島で開講されました。

出会いや気づきの中から生まれた新しい講義
この講義が生まれたきっかけは、盛り付けデザイン学で出会った飯野先生からの「ご出身の内海町の特産品は何ですか?」の一言。

これがきっかけとなり、広島で海苔が作られていることや、尾道の方ですら隣町の福山市内海町で海苔が生産されていることを知らないことに気が付き、もっと地元の魅力や内海の海苔の魅力を多くの人に知ってもらいたいという思いから「うつみ海苔の学校」を始めました。海苔の生産者であるマルコ水産に訪問し、海苔の未知なる生体、生産者の海苔に対する想いに触れ、「この内海町の海苔の魅力を、“体験”や“盛り付けデザイン”を通して、多くの人に知っていただけないか」とみんなで考えたのがこの講義です。また、海苔の旬の時期が11月~2月上旬ということもあり、1月に開講しました。

この講義レポートを通して、島や海苔の魅力や地元食材を引き立てる盛り付けデザインの魅力、そして田舎で心豊かに暮らす手がかりをお伝えできたらと思います。

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講義1日目
まず、海苔業者のマルコ水産さんからスタート。この日は40年ぶりの大寒波で天気は大荒れの予報。この時だけは晴れ間が広がり、海はべた凪。「狙ったように晴れたのぅ」と社長の兼田敏信さんもうれしそう。自己紹介もそこそこに、天気が変わらないうちに兼田さんと共に、海苔の収穫現場へ向かいます。

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20分ほど船を走らせ、百貫島という島の近くの養殖場に到着。この百貫島は実は愛媛県。この島の灯台の灯りは尾道からも見えると言われ、尾道からこの灯台の灯りを見た志賀直哉が『暗夜行路』を構想したという逸話があるほど。この尾道ともゆかりのある漁場で海苔の収穫体験が始まりました。

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海苔の収穫は「刈り取り船」と呼ばれる、海苔の収穫専用の船で行われます。この刈り取り船は、海苔網の下をもぐりながら進むことから、別名「もぐり船」とも呼ばれています。船の先端は平らで、海苔網を持ち上げるためのアームや海苔を刈り取るためのカッター、その下には海苔を溜めるタンクが装備されています。

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刈り取り船に乗り込んで、いざ海苔の世界へ!
船はガシャンとアームを下ろし、海苔網を持ち上げながら進んでいきます。水面から持ち上げられた海苔網にはのびのび育った海苔が連なり、目の前でザァザァと刈り取られてはタンクへ溜まっていきます。次から次へと通り過ぎる海苔網はまるで海苔のカーテンのよう。受講生のみんなも、目の前の光景に驚くばかりでした。

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普段当たり前のように食べている海苔の育つ環境や収穫の方法には、驚きと発見だらけでした。

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海苔の収穫体験の後は、海苔工場の見学へ。繁忙期でフル稼働中の工場で、収穫した生海苔が一枚の海苔になるまでの流れを説明していただきました。

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収穫された生海苔は船からポンプで吸い上げられ、海から工場へ。この仕組みに感動するも束の間、工場に運ばれた生海苔は海水で洗浄して異物を取り除いたあと、細かくミンチにされ、熟成・調合を経て、大型の機械で漉かれ、乾燥されて一枚の海苔になります。

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機械で破れや異物を確認し、100枚ごとに束ねられて出荷されます。札束ならぬ海苔束です。

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海苔1枚ができるまでの工程の多さにまたまた驚きました。機械の大きさからも、県内生産量トップの田島海苔がいかに大規模かということが伝わってきました。また、安心安全のために異物混入を防ぐ工程が多いこと、検査ではじかれた海苔は最終的には手で異物(エビ等)を除くことなど、工場で働く人たちの手早い連携プレーにも拍手です。

海苔の知られざる生体とは?
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工場見学の後は、海苔の知られざる生体と養殖方法について、兼田さんお手製のフリップボードで学びました。牡蠣殻の中で海苔の種が育つこと、網に種を得つける作業があること、海水温が適温になるまで海苔網を冷凍すること、雑草を防ぎ病気になりにくくするために海苔網を水面から上げ干すこと、ポンプ洗浄が欠かせないことなど、大変な手間ひまをかけて養殖されています。

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昼食は海苔師の賄いとして、生海苔が入ったみそ汁と、海苔の上にご飯とお気に入りの具材を乗せて、海苔のラップサンドをみんなで頬張りました。この、生海苔は旬の今だから食べられる貴重な一品。他にも生海苔にポン酢をかける食べ方は、サッパリしていて美味ですよ。

はじめての海苔漉き体験
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午後からは海苔漉き体験。生海苔を包丁で刻んで真水でとき、海苔簀の上に木枠をセット。枠の中をめがけ、手酌で一気に流し込みます。枠の中が均一に真っ黒になれば成功なのですが、これが難しいこと。みなさん「最後は端に寄せた方がいいかも」「最後は優しくゆっくり」など、試行錯誤しながら海苔を流し込んだ後は、木枠をゆっくり外し、脱水して完成。

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この後1日かけて干し、参加者のみなさんに持ち帰ってもらいました。手漉き海苔は分厚い上に、時間をかけて干すので市販の海苔よりも磯の香がよく、甘味も広がるそうです。

3コマ目は、海苔の食べ比べや商品への想いを伺いました。海苔にもお茶と同じように、「一番海苔」「二番海苔」という言い方があります。ここでは、一番海苔と二番海苔の違いを教えていただきました。

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写真を見て、どっちがどっちか分かりますか?食べてみると柔らかさや風味の違いがわかります。柔らかさの違いによって、歯切れの良さや適している料理も変わるそうですよ。奥深き、海苔の世界。

生産者の想い
時代の流れにより安く買われるようになった上に基準が厳しくなった海苔。生産者の努力が価格に反映されなくなった今、企業はどこにモチベーションを持つのか。それはやはり、いいものを作り、それを届けたいという想いがあります。時代背景に負けず企業努力を続けられるその姿に、消費者として、地元に住む者として、僕らは何ができるのか考えさせられた1日でした。

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2日目は、栄養価も高い海苔のパワーを日々の食卓に活かす“のりのりパーティー”を作っていきます。

後編へつづく
(text:キュレーター うつみ海苔の学校

講義名
のりのりパーティー学
定員
9名
日程
第1回 1月 23日(土)10:30-12:00
第2回 1月 23日(土)13:00-14:30
第3回 1月 23日(土)15:00-16:30
第4回 1月 24日(日)10:30-12:30
第5回 1月 24日(日)13:30-17:00
開講決定日
開講決定!!1月22日(金)まで受付中※開講決定日について
授業料
15,000円(税込) (全5回/税込) ※事前銀行振込
キャンパス
広島県福山市内海町(田島)
教授
兼田敏信
飯野登起子
キュレーター
うつみ海苔の学校
小川香澄
持ち物、その他注意事項
【持ち物】
汚れても良い服装、軍手、エプロンをご用意ください。
【注意事項】
・1日目のマルコ水産での体験代として、別途3000円いただます。(お土産付き)
・2日目のパーティー材料代として、別途2000円いただきます。
・初日の夜18:00〜 交流会の開催を予定しております。
【送迎・宿泊をご希望の方へ】
・電車でお越しの方は、尾道駅 or 福山駅に集合をし、現地まで一緒に向かいます。送迎ご希望の方は、お申し込み時にご連絡ください。
宿泊ご希望の方は、お申し込み時にご連絡ください。食文化伝承館にて、別途1500円(税抜き)でお泊まりいただけます。


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