糀屋本店の本当の凄さ


カテゴリ:コラム | 投稿日:2016年06月30日

こんにちは。「糀ニューワールド」のキュレーター 高野哲成です。いよいよ今週末に開催の浅利妙峰さんの講義を目の前に控え、僕が想う糀屋本店、浅利妙峰さんの凄さを綴ってみました。

糀屋本店とぼくの関係
僕は九州の大分県別府市にある立命館アジア太平洋大学という大学で、糀屋本店の”三本の矢”こと浅利兄弟と親交があり、妙峰さんの考案された「こうじ納豆」や漬け床として使われてきた塩麹を調味料として使う「塩糀」といったアイデア商品が世に出て広まっていくところを我がごとのように喜び、食や発酵に興味のある人に出会う度に糀屋本店が同級生だということを自慢してきました。

もちろん当時は、「この納豆が新宿伊勢丹で完売するらしい」といった程度の理解だったのですが、塩糀ブームが先か全国的な発酵食品への注目の高まりが先かはわかりませんが、今ではこの“発酵”というキーワードは、日本の食文化を世界に伝える際の切り口のひとつとして浸透してきています。

商品写真

糀屋本店の多面的な魅力は家族の支えあってのもの
しかし、こうじ屋ウーマン・浅利妙峰さんのことを著書やテレビ、新聞で知っていても、大分県の最南端、宮崎県との県境のまち佐伯市にある糀屋本店に行ったことがある人はどれくらいいるでしょうか。実は、糀屋本店は江戸時代からの伝統を受け継ぐ老舗の糀屋であると同時に、明確な経営哲学のもと、商品開発、イノベーション、ロジスティクスなど、あらゆる面を徹底的に磨き上げたベンチャー企業でもあるのです。

糀屋本店店外観公式

「家業を守り、きちんと税金を納める。家業を通して人を育て、それによって地域に貢献する。」「適正な規模を守る。」など、まさに地方の家族経営の企業のお手本の様です。また、注目すべきは、家族経営の企業ながら兄弟それぞれが全く異なった役割を担っている点で、長男・定栄さんはJICAを経て海外で糀を広める活動をされていて、次男・良得さんは糀屋十代目として修行中、三男・善然さんは経営コンサルタントとして独立し外部から家業の経営を支えられています。

事業継承で悩む企業が沢山ある中で、糀屋本店を見ていると「人を育てる」=「子育て」というフィールドの大切さが浮かび上がってきます。そこで一冊、妙峰さんの著書をご紹介させて下さい。

【浅利妙峰さん著書のご紹介】

母になるとき読む本(致知出版社)

母になるとき読む本(致知出版社)

「はじめに」の中で、浅利妙峰さんはこう書かれています。

「この小さいながらも長く続いてきた糀屋本店の営みの中で、私に与えられた役割は次世代へ命のたすきをつなぐことでした。一つはこれからも糀の命を百年、二百年と醸し続けていくこと。そしてもう一つは、九代まで続いてきた糀屋の暖簾をこの先、子々孫々まで末永く継いでいくことです。」

この想いが糀を育てる母として、そして5児の母でもある妙峰さんの様々な取り組みの根っこにあります。この本には、糀の需要がどん底ともいえる時代に、五人の子どもを育てられた涙と笑いの子育て奮闘記が、実際の家族の写真や言葉とともに綴られています。そこには、子育てに悩みを一人で抱え込んでいる人、子育てを楽しめなくなってしまっている人の心の負担を和らげてくれるような気付きが詰まっています。

お腹の中からはじまる胎教や3歳までの家庭教育の大切さ。地域で子供を育てる環境の大切さ。「頭ではわかっているものの、いざとなっては、どうしていいか分からない」という時にすぐにでも実践できる内容も多く記されています。「子供の教育にはお金がかかる」そんな概念はここにはありません。身の回りにあるもの活かした子育て。本文に「親業」という言葉が出てきますが、大切なことは、親自身が学び成長しながら子育てに向き合うことなのだと感じました。

それは、本著の「第五章・母性を磨く」「第六章・泣けば泣くほど叱られる浅利家の家庭教育」の項に詳しく書かれています。また、「第七章・浅利家の「和俗童子訓」」「終章・未来の子どもたちへのアドバイス」は、出来れば中学生〜高校生ぐらいの時に読みたかった、知りたかった内容が沢山書かれています。

妙峰さんのお話を聞く前の予習にも復習にもおすすめです。お話を聞いた後ですと、より温かみの増したバイブルとなるでしょう。時代や風潮に流されることのない哲学を、妙峰さんの熱と共に体感してみて下さい!

http://www.saikikoujiya.com/fs/kouji/bk0008

▼7月2日(土)開催
糀ニューワールド
https://onomichi-freedom-univ.com/lecture/koji_women.html


ONOMICHI FREEDOM UNIVERSITY 尾道自由大学