【いぐさ部】岩子島の「すずめのお宿」のおばあちゃんと、い草に触れる


カテゴリ:コラム | 投稿日:2016年05月16日

こんにちは。いぐさ部部員の木村です。

今回は、尾道市の岩子島で開催した、い草ワークショップの様子をお届けします。舞台は、瀬戸内海に浮かぶ、岩子島の「すずめのお宿」。ここは、高齢者のためサロンとして開設されている民間の福祉施設です。自宅で、一人でいる時間が多かったおばあちゃん、おじいちゃんたちが、寄り集まって話をしたり、ものづくりを一緒にしたりしているうちに、みんな元気になり、おしゃれになり、気がつけば若返っているという、岩子島のパワースポットのような場所です。この、「すずめのお宿」のみなさんと、いぐさ部で、い草を使ったものづくり交流を深めたいと想いで、4月18日、ワークショップが実現しました。

ものづくりが好きな「すずめのお宿」のおばあちゃんたち
今も現役で畑をされている90歳近いおばあちゃんたち。みなさんは、手を動かすことが本当に得意で、縄を綯ったり(綯う:なう、縄をねじりながらつくること)、畑のオフシーズンには、野菜を切って干したりと、隙間時間になにかすること、なにか作ることに対して、並々ならない情熱を持っていらっしゃいます。

①イナワ

昔に手を動かしてなにか作ったことがあったり、今も楽しみで手芸を続けていたり、これまでの経験と、記憶がとっても豊かです。例えば新聞の広告や、折り紙、服の端切れ、さらには木の枝さえも、この方たちの手にかかれば、アイデアあふれる雑貨に変身します。また、南天の木に九匹の猿がいるのを見立てていて、苦(九)難(南)が転(天)じるよう願いをこめられているこのオブジェ。御正月ごろになると、地元の郵便局に「今年も作ってほしいと」と言われるほどの人気だそうです。いぐさ部員もちゃっかりいただきました。

②苦難サル

「すずめのお宿」のおばあちゃんとい草でミサンガを作る
ここのみなさんに、い草を使ってもらえたらどうなるのだろう。い草を使って、自由自在にものづくりを楽しんでほしい。そんな思いから始まった、今回の「すずめのお宿」でのワークショップ。前回と同様に、い草でミサンガ作りをやってみました。今回のい草は、いぐさ部の母体である、備後い草再生プロジェクト実行委員会が育てた、備後産い草「せとなみ」を使いました。そしてアクセントに、い草をベンガラで染めたものを使ってみました。これは前回の尾道自由大学でのワークショップで知り合った畳職人の方がご好意で染めてくださったものです。あるおばあちゃんが、ミサンガづくりが始まる前に、「い草でこれを作ってみたんよー」と可愛い鍋敷きを見せてくださいました。みなさん、やる気満々です。

③鍋敷き

前回の尾道自由大学でのワークショップでは最初編み方に苦戦されている方が多かったので、今回もい草の扱い方に慣れるまで大変かなと思いましたが、そんな不安は吹き飛びました。「すずめのお宿」のおばあちゃんにとっては7本のい草を編むことは、どうやらおばあちゃんたちにとっては、シンプルでわかりやすいものだったようです。④不安はふっとぶ

⑤シンプルでわかりやすい

しかし、どうしてこんなにコツをつかむのが早いのだろう。そのとき、以前見せていただいた、紙を編んで出来たかごを思い出しました。これは、チラシを細く切り、それらを4つ編みにしていき、一本の紐をつくってから、ボンドで貼り付けて出来上がったものです。最後にニスを塗って出来上がり。

⑥つくるのにはまったかご

「このかご作りにはまったときは、ずっとこればっかりつくっとったんじゃけぇね」と、ザーッとふすまを開けてみれば、そこには押入れにぎっしりとかごが収納されていました。細かいフォントと洋服の写真がもはや柄になってしまっている、たくさんのカゴたち。かご作りのコツを伺うと、ポイントは素材選びにあるとのこと。一番作りやすいのは、通販雑誌で使われるようなカラー印刷がされた紙だそうです。素材の特徴をつかみながら、上手に編みこんでいるかごを見ながら、いぐさ部員は喉を唸らせていました。

⑦女が点

このようにして、様々な素材を使ってものづくりをしているだけあり、コツをつかむのが、とても早い。「次はどうするん?」、「こうしたらどうかな?」教えているこちらが追いつかないほどでした。

⑧教えてるこっちがおいつかない

次を楽しみにしてくれることが嬉しい
終わった後は、いぐさ部員が試作としてい草で作ったアクセサリーやカゴ作家さんの編んだものを見ながら、「どうやって作っとるん?」と、みなさん興味津々に、盛り上がります。「忘れないうちに帰ってまた作りたい」「次、どんなもの作るか楽しみ、また来てね」という言葉は私たちにとって宝物になりました。

⑨興味しんしんに盛り上がる

⑩たからものです

これからも、こんな風に、い草を知らない人、日ごろから関わっている人、いろんな方と一緒に、い草のことを考えて、手を動かしていきたいなと思うのでした。次回はどんなものをここで作ろうかと、今からわくわくしています。次回もどうぞお楽しみに。

(text:いぐさ部 部員 木村桃子)


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