【いぐさ部】大人もこどもも一緒に、い草にふれる


カテゴリ:コラム | 投稿日:2016年06月05日

こんにちは。お久しぶりです。いぐさ部部長、岩渕です。尾道自由大学でいぐさ部を立ち上げ、早3ヶ月。感慨深いものがあります…が、感慨に浸るタイミングがやや早い、という一人突っ込みをしつつ、5月29日(日)に第3回目となったいぐさ部のワークショップの模様をお届けします。今回は、い草を染めるデモンストレーション、さらにほたるかごと呼ばれる、蛍を捕まえて飼っておくための伝統的なカゴ編みを、みんなで体験しました。

vol4_2

尾道市内に残る い草加工の技術
ほたるかごは、尾道市内でりゅうびん(龍鬢)表の卸業をされている、山根さんから教えて頂いたもの。山根さんの生業である、りゅうびん表とは、一度泥染めして乾燥させた い草を、何度も水で洗い天日干しを繰り返し、金色になったい草で織られた畳のことを言います。通常、床の間に敷くこのりゅうびん表、由縁がとても素晴らしい。今よりずっと昔に、ろうそくなどで灯りをともしていた頃。日本家屋での床の間は、お客様を迎える大切な場所でした。その色、質とともに最高級といえど、緑の畳の上では明かりを点けても、照り返しが青白くなり、暗さを感じていたそうです。一方、りゅうびん表の上では、金色の照り返しにより、明るく見えたのだそうです。床の間にかかる掛け軸やお花を楽しんで頂くという、おもてなしの心によって、りゅうびん表が敷かれたというお話があるそうです。

Vol4_4

参加者とともにワークショップがスタート
そんな、い草職人である山根師匠から教えていただいた、今回のほたるかご作り。この度、いぐさ部の副部長に昇格した木村桃子さんが先生となり、8名の参加者と一緒にワークショップが始まりました。参加者は女性が中心で、普段は研究職や建築家、ママさん(と5歳のこどもたち)など、それぞれ異なるステージで活躍中のメンバーは集まりました。まずは、みんなで自己紹介。モノ作りがすき、日ごろから手を動かすのが好き、と、様々な思いで参加を決めてくださいました。こうして今回も、どきどきの講義がスタートしました。

Vol4_6

い草染めとは?
倉敷では、色とりどりに染められたい草で織られた花茣蓙(はなござ)が有名ですが、福山では青々とした緑色のままのい草が魅力です。今回は色分けによって編みやすさを重視し、ほたるかごに興味を持っていただきたかったので、染色も含めて、みなさんに見ていただきました。さっそくトレイに水を貼り、ダイロン(塩基性の染料)と塩を投入。ダイロンは手芸屋さんで購入できる、手軽な染料です。これも、先日、山根師匠に教えてもらったばかりの手法。用意した液に い草を浸けて、煮沸します。このまま40分-1時間煮詰め、時々ゴム手袋をはめた手で、まんべんなく色が染まるようにならしていきます。ご自宅でトライされる場合は、必ず換気してくださいね!みなさん、興味津々で覗き込みつつ、意外に、シンプルなんだなーという声も聞こえながら次の工程へ。

Vol4_9

覚えてしまえば簡単に作れるほたるかご
いよいよ蛍かごを編んでいきます。実は不器用な木村部長も編めるほど、覚えればとても簡単です。5本のい草を使い、四角形を作るように、次のい草へ、次のい草へと編みこんでいきます。少し油断すると、形がぺちゃんこになってしまうので、気をつけながら。最初は苦戦していた子供たちも、少しずつわかってきました。実は、お母さんたちがお子さんに教えてもらってたりして、今回は最年少の5歳の2人が大健闘しました。山根師匠もびっくりのほたるかご製作の最年少記録です。

13336119_1085742468138230_8459843042101922262_n

Vol4_11

作業後は、参加者のみなさんとお茶菓子の「かりんとう饅頭」を食べながら、「ほたるかごでアクセサリー作れないかなぁ」、「い草でサンダルが編めませんか」、「建築でのい草のアプローチってなにかないかなー」など、い草のこれからについてお話ができました。

Vol4_10

こうして、いぐさ部のワークショップの第3回目は、みなさんが自分で選んだ色とりどりのい草で、自分の力で編んだほたるかごを持って帰っていただくことができました。みなさん、お越しくださって有難うございました。

Vol4_13

次回は、円座についてのレポートをお届けします。どうぞお楽しみに。

※写真はいぐさ部副部長に任命された木村桃子さんと山根師匠です。
Vol4_5

(text:いぐさ部 部長 岩渕友里)


ONOMICHI FREEDOM UNIVERSITY 尾道自由大学