【いぐさ部】簡単にはいかない、い草栽培


カテゴリ:コラム | 投稿日:2016年08月08日

こんにちは。尾道自由大学いぐさ部の木村です。今回は、7月9日(土)に行われた、い草の刈り取りの様子をレポートします。7月9日朝9時。小雨が降る中、ヘルパーの方を含め、8名が揃いました。「雨が降ってるけど刈り取りできますかね?」とたずねると、「このくらいの雨なら、世話ない。涼しくて絶好のい草日和よ」とのこと。とってもプラス思考の門田さんの言葉に、一同、元気をもらい早速作業開始です。

慣れない田んぼで足元をとられる
作業の始まりは、い草の田んぼにかけている網を取り外す作業です。この網は、5月ごろに、い草がまっすぐ伸びるように、また長くなったい草を支えていくために行った「網掛け」と呼ばれる作業でかけていたものです。小雨で涼しいのはいいのですが、雨で水が完全に引いてない田んぼの泥は、ものすごい吸引力。一歩踏み出すたびに、「足が抜けない〜!」と、足を泥に捉われる光景もありました。網を取り外した部分では、門田さんの操縦する刈り取り機が入ります。最初の1列は大苦戦。雨のせいで泥がい草に付いているから、い草が機械の中で絡まり、ちょっと進んでは止まりの繰り返し。「果たして今日のうちに終わるんだろうか・・」誰もが不安に表情を曇らせました。

igusa_刈取り2016

みんなで分かち合う喜び
災難は災難を呼ぶのか、農機具と車のエンジンがかからないという問題も。この流れを変えたのは、お手伝いできてくれた、男性の方。ワークショップに参加してくださったのをきっかけに、刈り取りにも来てくださいました)。車のエンジンがかからない事態に、スマートに対応。エンジンがかかった瞬間、何かわからないけど、そこにいたみんなで「やったー!」と抱き合って大喜び。そんな訳も分からずヒヤヒヤしたり、歓声をあげたりしているうちに、お天気も持ち直し、青空も広がり始め、太陽の光も出てきました。

いぐさ部_様々な機械の風景

晴れ出すと、い草も乾き、刈り取り機が入りやすくなります。1列、また1列と順調にトラクターが刈り取りを進め始めました。刈り取った後も、キレイです。これもコツがあり、できるだけ、根元のところで刃を入れなければなりません。い草は長ければ長いほど上等とされていて、できるだけ地面すれすれのところで刈ることによって、少しでも長いい草を収穫できるようにします。それにしてもこの刈り取り機はすごい。短すぎるい草は、刈り取り機が自動で選別し、横にはじいていきます。そしてある程度束になると、紐でくくるところまで機械がしてくれます。それを後ろに積みながら、前を見てまっすぐに刈り取り機を進ませる門田さん、暑い中、慎重な作業が続きます。その一方、田んぼに生えた大きな雑草を引っこ抜く作業も待っています。ものすごく根が張っている雑草は、体重をかけながら、まさに絵本の「おおきなかぶ」状態で除去します。抜けた瞬間、尻もちをつきそうになる人も続出でした。

刈取後はトラックに積み込み
刈り取り機の後ろに積んだい草の束がいっぱいになると、一旦それをトラックにみんなで積みます。トラックに積んだい草の束は、そのまま、泥染め、乾燥してくれる商店さんへと運ばれます。この泥染・乾燥という作業は、い草が畳の素材になるための工程です。い草用の泥の中に、い草を浸し、乾燥機で十分に乾燥させます。畳は昔から、い草が青々とした緑色のものが上等とされていて、泥染の役目としては、刈り取ってすぐに泥につけることで、い草の緑色を保つためと言われています。この地域では、この泥染・乾燥をしてくれる商店さんは1件しか残っていないそうです。こうして、太陽の日差しでヘトヘトになった午後2時ごろ、刈り取ったい草を全部トラックに積み終わりました。一連の刈取り作業は完了です。

いぐさ部_トラックに積み込む2

トラブルもあり、足を泥に捉われていた頃は、全く終わりが予想できなかったのですが、お手伝いに来てくださった心強い仲間のおかげで、無事に予定通りの作業を時間内に終えることができました。手伝って下さったみなさまには、感謝の気持ちでいっぱいです。有難うございました! 今月の刈取りで収穫したい草は、10月にワークショップや円座の材料としてお目見えです。今から、10月が楽しみですね。

(text:いぐさ部副部長 木村桃子)


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