藁細工を守り伝える藤井桃子さんと、いぐさ部の話


カテゴリ:コラム | 投稿日:2017年05月09日

ご無沙汰しております。いぐさ部の名ばかり部長、いわぶちです。
ようやく2017年初のレポートをお送りしたいと思います。
いぐさ部の活動を通して、沖縄、九州、関西、と・・・ご縁をいくつもいただき繋がった方々と、なにかやりたいな、という気持ちがありました。この思いを形にしたのが、いぐさ部meet.シリーズ。

 

第一回目に迎えるのは、花背WARAを主宰する藤井桃子さん。
京都は左京区の、山深い花背という地域で、実際に自ら稲を育て、藁をつくり、藁細工を守り伝える彼女は、花背WARAを立ち上げました。藁細工ジュエリーのブランドです。今回、藤井さんが、尾道で藁について語り、実際に手を動かして、技術を伝えてくださいました。
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花背WARAの藤井桃子さんは、我々となにかが繋がっています。もうお気づきでしょう。いぐさ部の副部長である木村桃子氏と名前が一緒。すぐに親近感が沸きました。今回の滞在中も、桃さん、と呼べば二人が振り返ることに、何度となく笑ってしまいました。そんな性格の悪い部長です。
そして、ご縁。その性格の悪い部長(私)が、帰省の際に2016年の春に初めて花背の工房を訪ねると、山道の運転が不安だということでついてきた部長の父と、藤井さんのお父様が幼少期の同級生であることが判明したり。なんて世間は狭いのか。いや、い草で世界が広がった、と言えましょう。

さておき「いぐさ部meet.花背WARA 藁でバングルを作ろう!」は、
こんな少し不思議な絆がある私たちが、何か面白いことができないか。ひとまず、尾道で講義をやってみよう!と、企画したのが始まりです。参加者さんの顔ぶれは、大学で本格的にデザインを勉強していた、ゲストハウス勤務の女の子だったり、いつもいぐさ部で目をみはるようなクオリティでいぐさを編み上げる、メヘンディが得意なおなじみのお姉さんだったり、水呑町でイベントスペースを運営、いろんな方と、いろんな方法で場を温かくするのが得意なお姉さんだったりと、一筋縄ではいかない、今を力強く生きる女性ばかり。

藁を触るのがほぼ初めての私たちは、興味しんしんで素材に触れました。まずは、バングルのパーツを選び、
つぎに、パールか水晶か、水晶もこの形でいくか、など、自分だけのバングルを目指し、カスタマイズをしていきます。いよいよ、藁を編む作業の前に、藁を木槌でやわらかくします。木槌の音が、響く、響く、響く。

いぐさ部でも同じことが言えますが、パーツでも色でも、「自分が選べる」というのがポイントのようで。子供に戻って、オトナの女性たちが真剣にパーツを選ぶ、選ぶ、選ぶ。

さて、実際に編む作業。今回、バングルで採用されている編み方は、花背ではなべ敷きに応用されている技術です。編み方は、日本全国に多種多様にあって、例えばなべ敷きはこの編み方でないと絶対にいけないなどの制約は、とくべつありません。なべ敷きひとつとっても、その地域にはその地に根付いた技術があります。そしてもちろん素材があって、それらが藁だったりい草だったり、別の草や竹であったりするわけです。

このことは、いぐさ部活動を通して気付いたことでもありますが、ついつい忘れがちで、私たちが考えついた、発見した、編み出した(編んでるだけに)などという態度を取ってしまいかねないときがあります。編む技術には特許もなにもありません。その地域で愛される素材で、その素材に合った編み方で出来上がる日用品は、先人の知恵と、継承してきた先祖代々と、自然がもたらす素材の力の結晶であるのだなぁと、眺めながらに納得したのでした。大げさに言えば、時代ごとにつないできた技術のバトンが、今目の前のなべ敷きや、バングルをもたらしてくれているのです。

 


藤井さんは、毎年きまって、京都三大奇祭のやすらい祭りで使われる「わらじ」を奉納されています。そのわらじを編める人たちもとても少なくなってきた今、花背のママたちが「わたしに藁細工を教えて!」というグループが立ち上がったそうです。今年の2月から開始されたこの活動についてのお話は、いぐさ部も大変感銘をうけました。またいぐさ部活動のお手本としていきたいと思っています。
→藤井桃子さんが主宰する花背のママたちのグループ 藁らかby花背WARA

・・・製作しながら、お茶を頂きながら、お菓子を頂きながら。
本当にたくさんのことを語り合いました。藤井さん、ありがとうございました。そんなこんなで生まれたバングル。なんと大人の香りがするジュエリー!そしてこの、女子たちの笑顔。「かわいいは、○○○○!」的なCMばりの写真が撮れました。感無量です。


今後も、花背WARAさんと、いぐさ部は、共同開発をしたり、ためし染めや編み方の勉強会、工房視察などを積極的に行っていきます。今後の両者の取り組みも、meetシリーズ第2回も、どうぞお楽しみにお待ちください。

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