今回いぐさ部として初となる展示会を開催させていただくことになりました。今までワークショップのお知らせや今の栽培状況などを多くお伝えしてきた、いぐさ部は備後い草再生プロジェクト実行委員会という名前があります。この委員会のスタッフは、かつては日本にその名を轟かせた”備後のいぐさ”。そして、そのいぐさで織られた畳表を次の世代に継承するため活動を続けています。
しかし、なぜ逐一いぐさ部を名乗っているかと言うと、備後い草再生プロジェクト実行委員会の〇〇です、と言うと非常に長い(笑)ため、2016年3月に新たにスタッフを迎えたとき、仮の名を「いぐさ部」としよう、と決めたのでした。いぐさ部です、と言えば、なんとなく親しみがあるかなという簡単な理由からつけた名前です。それ以来、正式な場を除いては、「わたしたちは、いぐさ部です」というのが通例の自己紹介となっています。
私たちは当初から、心のどこかで「きちんとした展示がしたい」と思っていました。でも、畳がうてるわけでもなく、畳製造にかなう、長いいぐさを育てるには程遠い私たちが展示できるものは、その時点ではなにもありませんでした。
そのいぐさ部発足から2ヶ月後ご縁をいただいた5月に備後で育まれてきた技術の一つ、円座職人見習いの青年に出会いました。彼は、とても静かで、おとなしく、ひとり円座と向き合う男性でした。わたしたちは、自分たちが育てたいぐさを、そんな彼に託しました。ここから、備後い草再生プロジェクトの円座製作がスタートしました。
まだまだ、美しい円を描けないとか納得がいく品物はほとんどありません。しかし、いぐさ部のスタッフにとって自分たちが育てたいぐさが円座になるのが、本当に幸せなことでした。気がつけば、今やいぐさの栽培は円座の製作と共にあります。つまり、「良いい草をつくれば、良い円座ができる」ことが、心の底から分かり、畳職人、いぐさ農家の関係とその想いを、ほんの少しでも共感できたことが私たちにとっての収穫でした。
そうして月日は流れ2017年の6月に、同じくせとうちは倉敷市茶屋町で、いぐさの縄で作ったいかごを製造する、須浪亨商店の須浪隆貴さんと合同ワークショップをする機会に恵まれました。須浪さんが、ワークショップの最終日に声をかけてくださったのが、この「いぐさの夏 2017 かごと円座」でした。
この展示では、円座の販売はもちろんのこと、今までお世話になってきた作家さんや岩子島のおばあちゃんが作ったほたるカゴ、尾道市栗原のリュウビン表卸業の山根さんのなべ敷き、京都のかご作家 kago*kagoさんのいぐさかごを展示しています。いままでわたしたちがお世話になり、いろんな知恵と技術、時間をかしてくださった方々のいぐさのプロダクトが一堂に会するまたとない機会です。
備後い草再生プロジェクト実行委員会もとい、いぐさ部を応援してくださっているすべての方に、感謝の気持ちをこめて設営してきました。ぜひ、ギャラリーにお立ち寄りください。
■展示名:『いぐさの夏 – 2017 – かごと円座』
■会期:2017年7月22日(土)-8月12日(土)
■場所:ここちComfortGallery器(広島県福山市田尻町1974-1)
※月曜定休日
■ワークショップ
「瓶かごを作ろう」
・時間:7月29日(土)
⓵11:00~12:00
⓶13:30~14:30
・定員:各回6名
・講師:須浪 隆貴