コミュニケーションの秘訣は質問すること
コミュニケーションが得意な人というと、どんな人を想像しますか。流暢に話す人?聞き上手な人? いろんなタイプの人が思い浮かびますが、話すことと聞くこと、どちらか一方だけではコミュニケーションは成り立ちません。質問は、コミュニケーションの二つの要素〈話す〉と〈聞く〉を繋ぐもの。話すのが苦手な人、聞くのが苦手な人、どちらにとっても助けとなります。
相手の考えを理解するための質問とは
たとえば誰かの相談にのったとき、具体的なアドバイスをしたら「そういうことじゃない」と言われたり、相談相手に共感できなくて困ったことはありませんか。こうした問題は、そもそも質問の種類を理解していないことから生じます。なかでも、日本人が最も苦手なのが、相手の考えを理解するための質問といわれてます。そもそも、相手の考えを理解するってどういうことでしょうか。相手を理解するための質問は、情報や気持ちを知るための質問とどう違うのでしょう。この点を押さえておけば、初対面の人、価値観や常識が異なる人が相手でも、自分らしく会話を楽しむことができます。
なぜ哲学者に質問を学ぶの
哲学者とは、一言で言うと「思考(考え)を発掘する人」。
教授は、哲学対話という手法を通して、カフェや本屋、教育施設、福祉施設など様々な場所で、そこに集う人たちの思考を発掘し、考えることをサポートしています。みなさんのなかには、まだ誰も気づいていないお宝のような思考が、たくさん埋まっています。人は、他者の考えはもちろんのこと、ときに自分自身の考えだってよくわからないことがある。だから、悩んだり、迷ったりするのです。この講座では、レクチャーと国内外の哲学者が考案したワークショップを通して、相手の考えを理解するための質問を実践的に学びます。特に今回は、〈働く〉をテーマに、ワークショップを用意しました。〈働く〉に関する多種多様な考えを発掘し、仕事のヒントを得ながら、職場でも役立つ質問力を身につけましょう!
(第1期募集開始3月30日)
質問にはどんな種類があるの? 相手の考えを理解するってどういうこと? ハワイ大学のトーマス・ジャクソン教授が考案した「哲学者の道具箱(Good Thinker’s Toolkits)」から学びます。
最近、イラッとしたことは? どんな小さなことでも、イラッという感情の奥には必ずその人が大切にしていること、価値観が埋まっています。みんなで「哲学者の道具箱」を使って質問しながら、イラッの奥にある価値観を探り当てましょう。
働くのはなんのため? 生きるのにお金がいるから? 仕事がおもしろいから? なにもしないのは悪いこと? 質問役、回答役、記録役を交代で体験するグループワーク「ソクラテスゲーム」を通して考えます。
〈働く〉にまつわる哲学者のコトバを片手に、そのコトバにぴったりの場所を探して尾道の街を歩きます。「ここ!」という場所が見つかったら、コトバの意味とその場所について質問し合いましょう。ただし、答えられる質問は1つだけ。質問の瞬発力と決断力を鍛えます。
questionには、相手に投げかける「質問」だけでなく、ともに考える「問い」もあります。最後は、この2つのquestionの使い分けを学びましょう。〈働く〉についてみんなで考えたい問いをつくり、その答えについて互いに質問し合いながら思考を深めます。
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