日本の食文化に欠かせないヒーロー
おにぎりや海苔巻き、お鮨屋さんの軍艦巻きなど、日本の食シーンに当たり前のようにある海苔。海で採れる海藻という知識はあっても、どのように作られているかご存知でしょうか?
今でこそ簡単に手に入るようになりましたが、かつて海苔は高級品でした。なぜなら、海苔の生態にわからないことが多く、養殖が難しかったからと言われています。海苔は非常に小さな胞子から出来ていて、気温や水温、日照時間などのあらゆる条件がそろわないと発育せず、それらの条件がわかるようになったのは1950年代のこと。海苔をつくるためには、あらゆる自然の条件を観察しながら育てるための、知識と経験が求められるのです。
海苔、それは栄養の宝庫
こうして身近な食材になった海苔は、非常に栄養バランスが取れた食物でもあります。タンパク質の含有量が多く「海の大豆」とも言われ、親しまれて来ました。さらに、ビタミンA・ビタミンCが極めて多く、ビタミンB群や葉酸も豊富に含まれているなど、ミネラルやビタミンの宝庫なのです。それゆえ、保湿作用、抗酸化作用、血糖値抑制が期待でき、健康にも良いと言われています。この講義では、海苔を好きにならずにはいられない、海苔の奥深い世界に迫っていきます。
海苔の産地、内海町
講義の舞台は、尾道からも程近い福山市内海町の田島。瀬戸内海の美しい夕景で知られるこの島は、海苔の生産量が広島県全体の8割を占める、県内一の生産地。海苔の養殖から板海苔の加工までの全ての工程を行っています。
この島で、海苔の養殖が始まったのは昭和42年。内海町の海苔業者さんは収穫した海苔をその日の内に板海苔まで加工し、1日で約20万枚生産できる大型の機械を導入するなど、時代の変化と世の中のニーズに適した在り方に向き合いながら、より質の高い海苔づくりに創意工夫を凝らして来られました。
また、豊後水道・紀伊水道がぶつかる、この備後灘(びんごなだ)で育った海苔は色が濃く、艶もいいのが特徴。少し厚めに漉いている内海町の海苔は破れにくく、噛みごたえや風味が良いのが自慢です。
海苔師に学ぶ、海苔のこと
教授は、海苔を自家養殖、製造から販売までを一貫して行っているマルコ水産の海苔師、兼田敏信さん。海苔師とは、海苔養殖に取り組むプロフェッショナルを指します。兼田さんは、海苔の養殖、収穫はもちろん、生産設備のメンテナンスまで自ら手掛けられ、より良い海苔づくり、販売に情熱を注ぐアイデアマン。また、六次産業化や他者との商品開発など、海苔の魅力を広げるために、日々情報収集と研究を重ねています。
品質が最も良いとされる“初摘み海苔”のみを、刈り取ったままの状態で使用し、地元の保命酒みりん、小豆島の本醸造醤油、香川の和三盆糖で煮込んだ生海苔の佃煮は、2016年に「福山ブランド」に認定されるなど、その商品開発への姿勢が高く評価されています。
海苔ができるまでのストーリーを学ぼう
まず、本講義では海苔のつくり方を学んでいきます。海苔づくりの工程は、私たちが知らないことばかり。水車でグルグル種付け?日照時間が関係している?気温が重要?など、それはもう驚きの連続。
海苔の収穫船で、収穫シーズン真っ盛りの現場を訪れる体験もします。大きな収穫船で、次から次へと海苔を刈る収穫風景、あなたの目にはどのように映るでしょう。
お昼には、海苔をふんだんに使った海苔師の賄い料理を頂き、実際に手で海苔を漉いて板海苔をつくる体験など盛り沢山。
なかなか触れることがない海苔が出来るまでの裏側。本当に美味しい海苔を届けるために、工夫を積み重ねている海苔師の皆さんの想いを伺います。その工夫の背景には、専門的な技術や企業努力だけでなく、家族で支え合いながら経営しているマルコ水産ならではのチームワークも感じることが出来るでしょう。海苔の未来、そしてこれからの働き方や家族のあり方を一緒に考えてみましょう。
(第2期募集開始 11月29日)
9:00‐10:30
「海苔収穫の現場を体感しよう」
・自己紹介
・海苔の養殖方法を学ぶ
・収穫船に乗って、海苔漁へGO
※気候や海苔の生育状況によりプランを変更する場合あり
10:30‐11:00
「海苔が商品になるまでを知ろう」
・海苔の加工場を見学
11:00 – 12:00
「MY板海苔をつくろう」
12:00
《昼食》 海苔師の賄い料理を食べよう(予定)
13:00 – 14:00
「海苔師の暮らしを知ろう」
・生海苔、一番摘みの海苔、二番摘みの海苔の食べ比べ
・海苔師の想いを伺おう
・地方ならではの働き方について伺おう