かつて、尾道を含むこの備後地域は最高級の畳として名を馳せた“備後畳表”の産地で、その品質は幕府や朝廷に献上されていたほど。しかし、日本の暮らしの中で当たり前のように取り入れていた畳文化も、生活様式の変化によりニーズは減少し、加えて中国産の進出や後継者不足もあり、備後の畳表は衰退の一途をたどっています。
備後地方の伝統産業の1つである備後畳表を、現在、ディスカバーリンクせとうちが運営するい草プロジェクトでは、備後のい草の価値創出、伝統産業の継承を理念に、い草の苗から栽培をスタート。品種は「せとなみ」という既に絶滅に近い状態の品種。昔から伝統を守り続けて来た畳表職人の門田さんを従事者に据え、地元の農業高校である沼南高校が苗から栽培しています。
2015年夏に最初の収穫を終えた後、更なるいぐさの魅力を伝えるため、いぐさ部が始まりました。いぐさ部では、備後い草を使ったものづくりを通し、地域のものづくり文化や、い草の特性を知って頂くため、月に1度の講義を開催しています。蛍カゴをミニサイズで編んだり、実際に染料で染めてみる体験などのワークショップは、大人も子供も笑顔が絶えません。大人も子供も手を動かして、うまくいったり、いかなかったり、試行錯誤しながら楽しまれます。
今回の講義は、備後い草再生プロジェクト実行委員会が育てた、せとなみという備後地方特有の品種のい草で出来たイグサ縄で、「なべしき」を作ります。いよいよ秋から冬に向かうこの時期、なべを囲んでわいわいとお話しする機会が増えていきますね。自分でつくったなべしきを敷いて、美味しい時間を過ごして頂けたらと思います。
参加者の皆さんには、編むという技にチャレンジしていただきつつ、備後い草のこれからを、みんなで一緒に考えます。地域の伝統文化を知りたい方、地域文化で新しいものづくりをすることに興味のある方はぜひご参加ください。
6月15日(土)
13:00〜 挨拶、参加者の方自己紹介
13:10〜 備後い草プロジェクトについて紹介
13:30〜 いぐさ縄鍋しき作り
14:00―15:00 お菓子タイム
16:00 終了予定
※いぐさの縄持ち帰りセットつき!
※プログラム内容は、現地事情等により変更になる可能性があります。
講義レポートはありません。