講義名:盛り付けデザイン学 | レポート公開日:2016年04月08日
こんにちは。「盛り付けデザイン学」第5期の卒業生の松島里水です。昨年夏にカフェ(Home Spring)をオープンし、毎日ランチ作りに励んでいます。ただ盛り付けは難しくて、努力の成果のプレートをうれしげにfacebookに投稿すると、親しい友人から「料理は美味しいのに、盛り付けが残念!」との評価が・・・。そんなある日、昨年尾道自由大学の講義に参加していた次男が「盛り付けデザイン学」への参加を勧めてくれました。飯野教授のfacebookを拝見すると、それは美しい盛り付けが並んでおり、ワクワクしながら当日を迎えました。
まずは、自己紹介から
まず、1日目は自己紹介から。麹菌から手づくりされるというお料理の先生、ちえちゃん。陶芸と薬膳料理を学んでいる、りーやん。岡山から参加のお料理や建築のプロカメラマン&デザイナーの後藤さんご夫婦。みなさんお料理に関するレベルが高そうに思えて、内心ドキドキしながら講義は始まりました。
いざ講義が始まり、飯野教授の盛り付けのポートフォリオを見せて頂くうちに、その魅力にどんどん引き込まれていきました。世界各地で、その地の器や新聞、さまざまな食材などを撮影された美しい作品の数々はカラフルで躍動感があり、まるでアートでした。盛り付けという概念が崩され、その美しさにすっかり魅了されました。
午後は早速実践!!食材と向き合い、個性と向き合う
お昼ご飯を和気あいあいと食べ、午後からは、それぞれが持参したお皿に自由に食材を並べていきました。食材と思いっきり向き合い、断面や質感をながめなら、素材の魅せ方を考えていきます。
盛り付けというよりはアート感覚で、楽しみながら作品を作っていきました。完成したお皿には、それぞれの個性が如実に表れているのが大変興味深かったです。お互いに鑑賞をした後、飯野先生がスプーンやピックを用いたり、お膳に載せたり、大きなプレートに重ねたりして、その人の作品を生かしながら少しずつ手を加えてくださると、作品の魅力が増していったことには、参加者一同から感嘆の声があがっていました。
盛り付けに、正解はないという実感
印象的だったのは、「わたしの作品は雑然とした感じなので、全体的に直してもらえませんか?」とお願いしたとき、「雑然なのは、良くも悪くもあなたの個性だから直す必要はないですよ」と飯野教授がおっしゃられた一言。一瞬、「???」と思いましたが、その一言が核心を突いていたことが心に残りました。雑然としている中でもポイントを決めることや、1番見せたいものに視点を集める工夫をするなど、自分が何を大切にして伝えたいのか理解していれば雑然とはならず、その表現や世界観もアリ!となるわけです。
実は、伝えたいことが曖昧だから作品が定まらないのが自分の欠点でもあったので、「盛り付けって深い!自分の性格や人生をそのまま表しているじゃないか・・・!!」と感動しました。飯野教授の生き方や人としての魅力に触れた1日目も充実していて、翌日のパーティがとても楽しみになってきました。
第5期生ならではのパーティーをつくろう
2日目は、自分の好きな器を持ち寄り、その上に尾道ならではの食材やお惣菜を盛り付け、みんなで1つのパーティーテーブルを演出していきます。初日の段階で受講生みんなが打ち解け、気さくでフレンドリーな仲間たちと担当を決めてお料理をしたり、準備したりと、とても楽しい時間でした。お料理の先生ちえちゃんは、あっという間にドレッシングやバーニャカウダーのソースを作っていました。さすが、頼もしい存在。
プロのカメラマンの後藤さんは、仕事でも活かせるようにと具体的な課題があり、当日は「肉じゃが」を持参。地域によって、豚肉か牛肉かの違いの話も面白かったですね。ご夫婦で「肉じゃが」の盛り付けをしながら、素敵な写真をたくさん撮ってくださいました。そして自作のお皿を持ってきてくれた、りーやん。面白かったのは、呉名物「がんす」で、関東では見たことが無いという飯野教授も期待の存在でした。おいしいけれど、地味で脇役の印象だった「がんす」が飯野教授の手にかかると、パーティーで人目を引く主役級へと変身したのは圧巻でした。
私自身も、カフェで普段提供しているケーキを持参し、おしゃれな盛り付け方を学ばせていただいたり、蒸し野菜やおむすびも、すっかりお粧しされ、第5期ならではのパーティーテーブルは着々と出来あがっていきました。
ひとつひとつの食材を丁寧に、心を込めて盛り付けていらっしゃる飯野先生の姿を見ていると、「料理は愛、盛り付けは思いやりだなぁ」と、胸にジーンときました。講義以来、私にとってお料理と盛り付けに対する思いの込め方が明らかに変わったのは、言うまでもありません。
まとめ
お料理は、大切な人たちに大切な思いを伝える素敵なツールです。「お料理が苦手だ・・!」「忙しいのに・・!」と、苦労しながら料理をしている日本中のママたちが、楽しんで盛り付けを表現できるようになれば、日本中のご家庭や子供たちの笑顔が増えるんじゃないかな・・なんて妄想してワクワクしています。
ちょっとした気遣いで盛り付けがおしゃれに変わる体験をすると、お料理そのものまで楽しくなってきますね。そして、見た人が「わー!素敵!!」と喜んで笑顔になる姿をイメージをしながら、ひと手間かけることを日々取り入れられたら、毎日のくらしが豊かになっていくと実感しました。毎日の食時間を豊かに演出してみたい方に、「盛り付けデザイン学」をお勧めします。
(text:盛り付けデザイン学 第5期卒業生 松島里水)