漆器といえば、格調高く、一年の中でも「特別な時に使うもの」というイメージがあるかもしれません。しかし、長い歴史の中で培われてきた伝統の技は、暮らしの中で活かされてこそ真価を発揮します。漆には見た目の美しさに加えて、防腐性、耐水性、耐熱性といった性質があり、古くから食器や家具をはじめ様々な場面で活用されて来ました。
本講義では、漆芸家 田代京子さんを教授にお招きし、漆の歴史や漆が日本人の暮らしの中でどのように使われて来たかというお話に始まり、家に昔からある漆器を使う上での注意点など、日々の暮らしの中に「漆」をもっと心地よく取り入れて行く為の方法を学んでいきます。
そして、講義の最後には漆塗りの基本的な技法である「拭き漆(ふきうるし)」の体験を通して、漆との暮らしが始まります。
田代教授は、同じく漆芸家の旦那さんと共に「urushiro」として活動されていて、日々、暮らしの中で作品づくりに取り組まれています。ご自宅にお邪魔すると、金継ぎが施された大皿、縄胎(じょうたい)という技法で作られた器、拭き漆が施されたダイニングテーブルなど、いたる所に漆がちりばめられいます。小学生の娘さんのお母さんでもいらっしゃる田代教授がこだわられているのは、なるべく身体に良い素材を選ぶこと、大切に長く使えるものを選ぶこと、それらがストイックになり過ぎず自然に取り入れられていて、とても参考になります。
田代教授の作品はこのページ内の写真をはじめ、ホームページでもご覧いただけます!
拭き漆をすると洗いやすくなり、しかも、防腐効果があるため中身も傷みにくくなります。
拭き漆は木目を活かして仕上げることが可能なので、洋風の家具などにも似合います。
姉妹講義である「金継ぎの日」で学ぶ金継ぎと同様に、拭き漆も一度身につければ一生もののスキルです。自分の手で豊かな暮らしをつくることの出来る伝統の技をこの機会にぜひ体験してみてください!漆=和風のものとしてだけ捉えていては勿体無い、漆を暮らしに取り入れるための第一歩を踏み出してみませんか?
わが家ではほぼ毎日、漆の器が食卓にのぼります。手触りも口当たりも、その心地よさは他には代えがたいもの。現代では化学塗装や樹脂のものが多く出回って、ときには「漆ってなに?」という質問を受けることがあるほど、特に若い世代での認知度は低くなっています。「塗装」と「接着」、このふたつの役割おいて漆はかなり優れていて、拭き漆のやり方を学べば、生活の中で今後もなにかと役に立つはずです。素材としての漆をもっと身近に、そして本物の漆器にも目を向けてもらえたら、と思っています。
(第2期募集開始日:7月6日)
・漆器や漆塗料の魅力について、教授の活動をもとに紹介。
・漆を暮らしの中で活用するための知恵や注意点を学ぶ。
・箸の表面を整え、拭き漆をする。
※漆は乾くのに時間を要するため、二度目、三度目の拭き漆は自宅にて行って頂きます。