小さな島でのこれからの暮らし方を考える旅


カテゴリ:blog コラム | 投稿日:2018年01月12日

こんにちは。港の編集室の中尾です。福山市内海町に夫婦で暮らしており、尾道自由大学では様々な講座を受講させていただきつつ、講義「海苔師の暮らし」などのキュレーターもさせていただいています。
プライベートなことで恐縮ですが、私たちは11月中旬から2週間ほど、スペインとイタリアへ新婚旅行に行ってきました。地域に住んでいると「結婚式はいつするんな(いつするの)?」「新婚旅行はどこ行くんな(どこ行くの)?」と聞かれることが少なくありません。結婚式も無事に済ませたところで、新婚旅行に行くことにしました。仕事もある中で、わざわざ安くはないお金をかけ、物騒な海外へ…。「今のうちしか行けないよ~」という言葉に背中を押されるように出発しました。

行き先は、なかなか行く機会がないヨーロッパに、そして瀬戸内海に似ているという地中海に接する国に決めました。内海町の漁師さんや農家さんから、魚介類が内海町とよく似ていたという話も聞いていたのでスペイン。そして、農村地域・トスカーナ地方への憧れからイタリア。この2国には行くと決めて、行きは日本からバルセロナ、帰りはローマから日本への航空券を取り、それ以外はほとんどプランを決めないまま飛行機に。行きの飛行機の中で、今回の旅行のテーマを考えました。そして「小さな島でのこれからの暮らし方を考える旅」とすることにしました。
スペインではバルセロナ、フランスとの国境のバスク地方の漁師町へ、イタリアではフィレンツェやトスカーナ地方、ローマへ行きました。有名な観光地も巡り、観光客がほとんどいない町にも行きました。ホテルだけでなくファームステイやAirbnbなども利用しました。
そんな旅の中で感じたこと、学んだことはたくさんあるのですが、中でも印象的だったことは、町中で人々がくつろいでいる日常の様子でした。公園や海辺、歩道、あるいは史跡で、おしゃべりをしたり、寝転んだり、音楽を奏でたり、愛を語り合ったりしている姿。そして、景色がいいなと思う場所、ちょっとのんびりしたいなと思う場所には、そこが住宅街であっても必ずベンチがあることに驚きました。

日本だったらどうでしょう。「平日のこんな時間にこんな所で何してるんだろう?」「働いてないのかな?」なんて思うかもしれませんが、スペイン・イタリアでは、道行く人にそんな風に思っている様子はなく、くつろいでいる人もどう見られるかを気にしている様子もありません。他人に対して寛容な雰囲気を感じました。何と言うか、各々の居場所や過ごし方を認め合ってる感じ。きっとそういうまちでは、自然と会話が生まれ、コミュニティが形成されるのではないかと思います。
仕事の面でも、スペインのバスでは、運転手さんが途中でカフェに立ち寄って朝食を買ったり、運転中に大音量でラジオを聞いていたり。仕事の時間でありながらも、それぞれの裁量が認められる余白があるような印象を受けました。

どちらにも共通するのは、「境界を曖昧にすること」とそれを「許容すること」ではないかと思います。プライベートとパブリックの境界、仕事とプライベートの境界。それらの境界を曖昧にすることで、その人らしさが現れ、そのまちらしさにつながっていくような気がします。スペインやイタリアの人々の日常が、私たちにそれを教えてくれました。
自分らしさ、そのまちらしさを暮らしの中で楽しむために、何から始められるだろう?まずはお気に入りの場所にベンチでも置いてみようかな。そんな少しの変化がまちを楽しくするといいなと、小さな島でのこれからの暮らしを考えるのでした。
背中を押されるがまま行った新婚旅行ですが、新たに家族となった2人がこれからの暮らしを考える機会となりました。「今のうちだよ」と言うけれど、余白さえ作れば、本当はいつだって旅に出られるのかもしれません。みなさんも「暮らし」を学ぶ視点で旅をしてみませんか。それを少し日常に取り入れると、きっと楽しい未来が待っているはずです。

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港の編集室がキュレーターを務めるスペシャル講義『海苔師の暮らし』は現在、受講生募集中です!一年に一度、この時期にしか開講できない講義なのでお見逃しなく!

◾︎日程
1月21日(日) 9:00~15:30
◾︎授業料
6,000円(税込)
◾︎会場
広島県福山市内海町(田島)
◾︎教授
兼田敏信(マルコ水産)

▼お申し込みは講義ページより!
https://onomichi-freedom-univ.com/lecture/fishermans_life.html


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